密植条件下におけるラッカセイ日中多収性品種の受光態勢および光合成関連形質
曹鉄華・礒田昭弘

要旨:多収性ラッカセイ(Arachis hypogaea L.)日中4品種(日本品種;関東83号,ナカテユタカ,中国品種;魯花11号,花育16号)の密植条件下での群落の受光態勢,ならびに個葉の光合成関連形質を測定し,生育後半の光エネルギー変換効率(RUE)の向上の面からラッカセイの多収性品種の特性を検討した.日本品種は草高が低く,葉面積の垂直分布は上部2,3層目に大きい葉面積が分布する葉群構造であった.中国品種は日本品種に比べ,草高が高く,各層に小さい葉面積が分布していた.層別小葉面受光量はいずれの層においても花育16号が大きな値となった.日本品種のうち関東83号は,草高が低く葉面積が密に分布するものの,複葉面積が小さく吸光係数も小さかった.中国品種では葉面積指数は小さいが,小葉面受光量が大きいため,群落全体の受光量は日本品種に比べて大きくなった.生育後期におけるCO2同化速度,光化学系の量子収率は,高収を示した関東83号,花育16号が比較的大きな値であった.特に高収量を示した花育16号は,優れた受光態勢によって生育後半の高いRUEを維持したことが高収量につながったものと考えられた.
キーワードArachis hypogaea L., 光化学系の量子収率,CO2同化速度,受光態勢,密植栽培,葉群構造,ラッカセイ.