ダイズの葉の調位運動が乾物生産および光阻害に及ぼす影響

礒田昭弘・戸間替崇

開花期盛期より収穫期までダイズ群落上層を防雀網で覆い、群落上層の小葉の調位運動を抑える処理を行い、調位運動を抑えない無処理区と比較し、葉の調位運動が乾物生産特性および光合成の光化学系に及ぼす影響を検討した.処理期間中の生長パラメータの個体群生長速度、葉面積指数、純同化率は両区で有意な差がみられなかった.収量および収量構成要素にも有意な差はみられなかった.8月中旬の晴天日における葉温は、処理区が日中大きく推移し、無処理区に比べ最大で5.5℃高くなった.光化学系の量子収量(ΦPS)および非光化学的クエンチング(NPQ)は、8月16日を除き処理期間中、両区に有意な差がみられなかった.処理期間中、処理により上昇したものの葉温は40℃以下に抑えられたこと、9月は圃場に水分が足りない状態ではなかったと思われることから、光化学系の効率低下や光阻害が起こらず、乾物生産にも影響がなかったものと考えられた.