マメ科作物の葉の調位運動が受光量に及ぼす影響 第l報 ラッカセイ

礒田昭弘・吉村登雄**.石川敏雄**.野島博・高崎康夫(千葉大学園芸学部,**千葉大学映像隔測研究センター)

要旨:ラッカセイの葉の調位運動が受光量に及ぼす影響を見るため,栽植密度の異なった群落を防雀網で調位運動を抑える処理を行ない,受光量を測定した.用いた品種はナカテユタカで,20cm(20cm区),30cm(30cm区),40cm(40cm区)の正方形に播種した.8月7,8日に処理を行ない,群落中のl個体の小葉に簡易積算日射計をはり受光量を測定した.朝夕,上層の小葉は太陽光線と垂直に近い向きを示したが,昼間は立ち上がり,太陽光線と平行に近い向きを示した.平均小葉面受光量および単位土地面積当たりの受光量は,20cm区では無処理区が大きくなったが,30cm区では等しく(葉面積を同じとして計算した場合),40cm区では処理区の方が大きくなり,葉が立ち上がることにより疎植区では受光できずに地面に透過する光が多いことがわかった.層別受光量は,20cm区では無処理区は中層がもっとも大きく,処理区は上層部が大きくなり,葉の立ち上がりにより中層部の受光量が大きくなることがわかった.30cm区では無処理区は下層部がもっとも大きく,処理区は中層部が大きかった.40cm区でも無処理区は下層部が大きく,処理区は上層部が大きかった.ラッカセィの葉の調位運動が受光量に及ぽす影響は,葉群構造および葉群密度によって異なり,密植区ほど葉の立ち上がりにより過繁茂状態が緩和され中層の受光量が大きくなり,疎植区では受光量が減少することが認められた.

キーワード:簡易積算日射計,受光量,調位運動,葉群構造,ラッカセイ