マメ科作物の葉の調位運動が受光量に及ぽす影響 第2報 ダイズ

礒田昭弘・吉村登雄*.石川敏雄*.王培武・野島博・高崎康夫(千葉大学園芸学部,*千葉大学映像隔測研究センター)

要旨:ダイズの葉の調位運動が受光量に及ぽす影響を見るため,栽植密度の異なった群落を防雀綱で抑える処理を行い,小葉の受光量を簡易積算日射計で測定した.用いた品種はナンブシロメとミヤギシロメで,30cm(30cm区),40cm(40cm区)の正方形に播種した.8月14日,15日に処理を行い,各区より2個体選び全小葉の2日間の受光量を測定した.同時にナンブシロメの30cm区の葉温を測定した.また,相互遮蔽の無い状態での受光量を推定するため,ポットで生育させた孤立個体の受光量についても測定した.両品種とも平均小葉面受光量および単位土地面積当たり受光量は処理区の方が高い値を示し,処理区間の差は30cm区で大きかった.ナンブシロメはミヤギシロメに比べ平均小葉面受光量が大きく,各層の受光量も大きかった.孤立個体の平均小葉面受光量は,いずれの層もミヤギシロメが小さく,孤立個体内での遮蔽も大きいものと考えられた.葉群構造は両品種とも上層に葉群が集中したが,特にミヤギシロメは葉面積指数が大きく相互遮蔽が激しかった.処理区の最上層の葉温は朝7時以降気温より高く推移したが,無処理区では気温とほぽ同様の推移を示した.以上のことからダイズの葉の調位運動は早朝と夕方遅くを除き,基本的には強い大陽光線から逃れようとする運動であり,葉温を下げる効果があるが,同時に受光量を調節して減少させる影響を持っていることがわかった.

キーワード:簡易積算日射計,受光量,ダィズ,調位運動,葉温,葉群構造