水分ストレスがワタとラッカセイの葉温とクロロフィル蛍光パラメータに及ぼす影響

Shahenshah1)・礒田昭弘1)

1)千葉大学大学院園芸学研究科)

 

水分ストレス条件へのワタとラッカセイの適応性を検討するため,温室内で水分処理実験を行い,葉温と光化学系IIPSII)のクロロフィル蛍光パラメータを測定した.ワタ5品種とラッカセイ6品種を用い,2水準の水分処理を行った.標準区は蒸散量と同量の,水分ストレス区は標準区の50%のかん水を行った.ラッカセイはワタに比べ水分ストレスにより葉温(TL)および非光化学的消光(NPQ)が大きくなり,単位葉面積当たり含水率(WCLA),クロロフィル含量およびPSIIの最大量子収率(Fm/Fv)が小さくなった.一方,ワタはラッカセイに比べ水分ストレスにより蒸散速度,PSIIの実効量子収率(ΔF/F'm)および葉面積(LA)が小さくなった.ワタは水分ストレスにより根乾物重(RDW)とLAの減少が起こり高いWCLAとなり,ラッカセイはLAが減少しRDWが増加した.ワタとラッカセイは水分ストレスにより,主に蒸散によって制御されているTLの上昇と共に,PSIIの損傷と下方調整が行われていることが認められた.また,ラッカセイはワタに比べ水分ストレス条件下ではより大きいPSIIの損傷が認められた.