乾燥条件下におけるワタの蒸散と葉の調位運動の関係

王春艶1)・礒田昭弘1)・李治遠2)・王培武2)
(1)千葉大学園芸学部・2)中国石河子中亜干旱農業環境研究所)

ワタ(Gossypium hirsutum L.)5品種を中国新疆で栽培し、葉温、蒸散速度(茎流速度)および葉の調位運動の面から乾燥条件への適応能力を評価しようとした.葉温は朝気温より低く、午後には高く推移した.蒸散速度には大きな品種間差異があった.全般に蒸散速度は飽差によって変化していたが、蒸散能力の低い品種は大きい飽差の範囲では蒸散速度への飽差の影響は小さくなった.蒸散能力の高い品種は単位面積当たりの葉面受光量が大きい傾向があり、葉が太陽光線に対して垂直に向く向日運動をしていた.ワタの高い蒸散能力は、向日運動による熱ストレスを回避し、さらには乾燥条件下での高い収量性と関連している可能性が考えられた.