マメ科作物のの葉調位運動が受光量に及ぼす影響 第4報 ラッカセイ品種における葉温及び蒸散との関係

礒田昭弘・ABOAGYE Lawrence Misa・野島博・高崎康夫(千葉大学園芸学部)

要旨:ラッカセイの葉の調位運動の品種間差異について,葉面受光量,葉温及び蒸散速度の点から検討した.5品種(千葉半立,タチマサリ,関東56号,バレンシア,金時)を圃場条件下で栽培し,地上部最盛期に防雀網で群落最上層葉を抑え,自由に調位運動を行っている無処理区の小葉面受光量と葉温の日変化を比較した.また,熱赤外線画像測定機で各区の群落熱画像を撮影するとともに,無処理区の個体を対象に蒸散速度,気孔低抗を測定した.タチマサリ,バレンシア,金時の3品種では,無処理区の葉温は気温とほぽ同様に推移したが,処理区の葉温は気温より高く推移した.千葉半立,関東56号においては,葉温は無処理区で気温と同様かやや高く推移したが,処理区では午後から気温より低くなった.受光量は曇天日にば関東56号、バレンシア,金時で,晴天日ではタチマサリ,関東56号で無処理区が有意に大きくなり,両日とも関東56号が最大の受光量を示した.蒸散速度は千葉半立が最大で,次いでバレンシア,関東56号,タチマサリ,金時の順で,気孔抵抗とは負の相関関係があった.熱赤外線画像測定による群落の葉温はタチマサリ,金時で高くなり,千葉半立,関東56号で低い値を示した.以上のことから,蒸散能カの高い品種は太陽光線を避ける運動の程度が小さいことから受光量が大きくなり,蒸散能力の低い晶種は太陽光線を避ける運動により葉温を下げ,水分ストレスを回避している傾向がうかがえた.

キーワード:受光量,蒸散速度,調位運動,熱赤外線画像,葉温