ダイズ群落における葉身透過光と受光量の分布

礒田昭弘・吉村登雄*.石川敏雄*.野島博・高崎康夫(千葉大学園芸学部,*千葉大学映像隔測研究センター)

要旨:ダイズ群落内の詳細な光分布を簡易積算日射計フィルムを用いて調査した.5品種(ツルコガネ,ナンプシロメ,エンレイ,タチナガハ,ミヤギシロメ)を用い,35cmの正方形に播種し圃場条件で栽培し,小葉の中央と端の2日間の受光量そして葉身を透過した光の量を測定した.ツルコガネを除く他の4品種は葉群が上層に集中していたが,ツルコガネの上層の葉面積はそれほど大きくなかった.平均小葉面積はツルコガネ,ナンブシロメが群落上層部でも小さく,エンレイ,タチナガハ,ミヤギシロメの上層葉は大きかった.いずれの品種も受光量は小葉の端の方が中央より大きくなり,その差は小葉の小さいツルコガネ,ナンブシロメで大きかった.葉身を透過した光は平均で約1MJm2 2days1で,葉表面での受光量に対して13−27%であった.群落内部への光の浸透は,上層の小葉が小さく,葉面積が上層に集中しない群落で有利であることがわかった.

キーワード:簡易積算日射計,群落構造,受光量,ダイズ,葉身透過光.