簡易積算日射計フィルムによるイネ群落の受光態勢の解析

礒田昭弘・吉村登雄*・石川敏雄*・中村康志・野島博・高崎康夫（千葉大学園芸学部、*千葉大学映像隔測研究所）

色素の退色率から日射量を測定する簡易積算日射計フィルムを用い，草型の異なるイネ群落の受光態勢の差異について検討した．用いた品種はシンレイ（短桿穂数型）と玉錦（長桿穂重型）で，調査は8月11，12日（第1回）および8月30，31日（第2回）に行った．

1．第1回調査時では，玉錦に比ベシンレイが最上層の平均受光量，最大値，最小値が大きかったが，次層では両品種とも大きな差異はなかった．

2．第2回調査時では，最上層で玉錦に比ベシンレイの方が平均受光量，最大値，最小値とも大きかった．第2層以下では，シンレイの平均受光量，最大値は徐々に小さくなったが，玉錦では平均受光量はすべて2MJ／m2／2days末満となった．両調査時とも玉錦に比ベシンレイは，光を効率よく受光しているものと考えられた．

3．両調査時とも群落内相対照度に比べ全天日射量に対する平均受光量割合は，両品種で群落上層部は小さくなった．第1回調査時の玉錦，第2回調査時のシンレイの下層部では，逆に平均受光量割合の方が若干大きくなった．