乾燥条件下におけるダイズの生育と適応

第1報 葉の調位運動の実態と葉温について

王培武**.礒田昭弘***.魏国治****(中国石河子工業技術開発研究中心・***千葉大学園芸学部・****中国石河子農学院)

要旨:乾燥条件下でのダイズの葉の調位運動の実態と葉温との関係を調査するため,乾燥地域である中国新彊ウイグル自治区石河子のコンクリート枠圃場で実験を行なった.適宜かん水処理した区(かん水区)と一定期間かん水を行なわなかった区(無かん水区)を設け,調位運動の活発な珍珠塔2号と不活発な黒農33号の2品種を栽培し,登熟中期に,葉群構造,頂小葉の葉温を調査した.黒農33号の無かん水区は茎長が小さくなり,葉面積指数もかん水区の約半分になった.珍珠塔2号の無かん水区は茎長は余り変わらないものの,各層の葉面積指数が小さくなり,全体の葉面積指数がかん水区の半分になった.珍珠塔2号の無かん水区は早朝から葉身が立ち上がり,日中は太陽光線と平行に近い状態となった.かん水区も調位運動を行なったが無かん水区ほど顕著ではなかった.最上層の葉温はかん水区で午前中気温より少し高くなったが,正午前から低く推移した.無かん水区ではほとんどの時間気温より低く推移した.黒農33号の無かん水区では葉身に萎れがみられた.かん水区では珍珠塔2号ほど活発ではなかったが,昼間太陽光線と平行になろうとする調位運動を行なっていた.かん水区の最上層の葉温は正午前から気温より低く推移したが,無かん水区では朝から気温よりかなり高く推移し日射量の変化に影響されていた.珍珠塔2号の無かん水区に一時的にかん水を行なったところ,かん水5日後においても水分ストレス条件下と同様な太陽光線を避ける調位運動が認められた.

キーワード:かんがい,水分ストレス,ダイズ,調位運動,葉温.