乾燥条件下におけるダイズの生育と適応 第3報 かん水処理に対する乾物生産および収量性について

王培武・礒田昭弘・魏国治**(千葉大学園芸学部,**中国石河子農学院)

要旨:中国新彊の乾燥地域において,珍珠塔2号と黒農33号を用い,登熟期に4水準のかん水処理を設け,水分ストレス条件下における乾物生産の品種間差異について検討した.生育期間は,珍珠塔2号が黒農33号より長かった.部位別乾物重は,黒農33号に比べ珍珠塔2号が大きく,特に根乾物重が大きかった.かん水処理期間中,両品種とも全乾物重はかん水量が多いほど大きくなった.乾物重割合は,全般的に黒農33号に比べ珍珠塔2号は葉,根乾物重割合が大きく,莢乾物割合が小さかった.個体群生長速度(CGR),葉面積指数(LAI),純同化率(NAR)は,両品種とも全般的にかん水量の多い区ほど高い値をとった.莢乾物重増加速度(PGR)は,珍珠塔2号に比べ黒農33号が莢形成期が早いため大きくなり,両品種ともかん水量が多いほど高い値となった.生長パラメータ間の関係は,処理期間中,CGRとLAI,PGRとNARの間に有意な正の相関関係があった.両品種とも莢数,粒数は,かん水量が多いほど大きな値となった.子実収量は両品種ともかん水量が多いほど高く,珍珠塔2号のかん水IV区では5400kg ha一1と高収量を示した.珍珠塔2号の高収性の要因のlつは,高い葉面積展開能カによるLAIの増大がCGRを高めたことによると考えられた.

キーワード:かん水処理,乾物重,莢数,収量構成要素,生長パラメータ.