西山 未真

Mima  NISHIYAMA

 

略歴:

滋賀県出身

1991年千葉大学園芸学部園芸経済学科卒業

1996年東京農工大大学院連合農学研究科修了、博士(農学)

日本学術振興会特別研究員を経て、1999年から現職

 

所属学会:

日本農業経済学会、日本農業経営学会、日本農村生活学会、日本村落研究学会、日本国際地域開発学会(編集委員)

 

専門分野: 農業経済学 農業経営学 農村生活論

 

研究プロフィール

農業経済学を学ぶ学生のみなさんへ

  現在農業経済学を学んでいるみなさんは、農業経済学と自分自身との接点をどのように考えていますか?私が農業経済学に強い関心を持ったきっかけに、学生時代の講義で紹介された「公害のブーメラン現象」があります。日本で生産された無認可の農薬が途上国に輸出され、それを使用した農産物が日本に輸入され戻ってくるという現実に、世界の食料、農業の問題を非常に身近な問題(危機感)として強く意識させられたためです。その後、大学院に残り研究を行うようになってからも、日本の一農家の出来事が世界の食料問題に通じていることを意識しながらフィールドワークを行ってきました。

 5年ほど前から東南アジアの農村を歩き回って気づくことは、そこでの自然の恩恵をいっぱいに受けた人々の暮らしの豊かさ、人々が自然に対して非常に謙虚であること、さらに人と人との関係がとても確かなものとして結ばれていることなど、今の日本に失われている大切なことばかりです。そういった”大切なこと”も、つい(?)3040年前までは日本にあったふつうの日常だったのだと思われます。生業としての農業や自然と深く関わったくらしが根強く残っている東南アジアやかつての日本の中から、資本主義が高度に発達した現代社会に生きる私たちは何を学べばいいのか?その手がかりを農業の生産現場から具体的に発信できたらと思いながら研究を行っています。

 

これまでの主な研究内容

●農家直系家族の経営展開と家族関係の変容

 これまで家産と家業(農業)の継承を前提に維持・存続してきた農家で、農業の後継者、さらに家の継承者までいなくなるほどに危機が深刻化している。その背景には、農業の経済環境の悪化に加えて、農家、家族経営における個々人の位置づけが明確でないこと、さらに農業のみならず、農村、家、家族関係についての問題状況が深く影響していると考えられる。家族経営を中心とした農業経営の経営展開・経営問題のあり方を考える際には、多世代同居の農家直系家族の生活・家族関係も視野に入れた農業経営のあり方を考える視覚が不可欠となる。こうした問題意識の下に、家族経営における経営展開と家族関係のあり方をテーマに研究を行ってきた。

●農村女性の「自立」と多世代家族の家族関係

 新しい経営・生活のあり方を構築するための対応は、社会経済条件の変化といった外部条件にのみ規定されるのではなく、生活・家族の変化も反映されてくるものである。そうした農家を取り巻く様々な条件の変化に対処する農家個々の農業経営と農家生活の具体的取り組みを分析した場合、そこには経営と生活という両場面で主体者として成長していく女性の姿をとらえることができる。

 多世代同居の農家家族では、多くの知恵と工夫により様々な条件に対応して農業と生活のあり方が形成されている。そうしたことは世代間の関係をみると非常に顕著に現れる。そうした世代間の関係、多世代家族における個々人の位置づけを、日本とミャンマーをフィールドとして研究を行っている。

●農村・農家のくらしと農業

 定住性という性格が強く何世代にもわたって農業と生活が営まれてきた農家には、特有の歴史貫通的機能が個々の農家の農業・生活のあり方に強く影響を与えていることがわかる。社会経済条件、さらには家族の問題等様々な諸事情に、柔軟に対応している農家の農業・生活のあり方のベースとなったものは、様々な社会的慣行や生活慣行が連綿と継承されてきたゆえのことであった。低位な生産力段階や自然条件など様々な制約下での農業や集団生活の中にあっても、その中にぎりぎりのところで個々人の自由や安らぎの場を与える祭的な慣行が存在していた。田植えの後の労をねぎらうさなぶりであったり、多世代による家族生活を円滑に進めるための里帰りや宮参りである。そうした支援関係はいつの時代にも認められ、現象形態を変えつつ、今日の農家においても継承されている。そのような支援関係の変遷に注目しながら、これからの農村、農家のくらし、農業経営のあり方について研究を行っている。

 

現在の関心と今後の研究計画

 現在では、農業生産者のみならず、生産者も消費者も含めたすべての人たちの、人や地域、さらに自然環境等あらゆる地域資源との関わりを通した行動や価値観の形成などに関心を持っている。農産物やそれが生産される地域の環境問題を考える際に重要なのは、それに関わる主体が、それぞれの立場の違いを越えて、環境問題への正確な理解と認識を持って行動しなければならないことがある。環境保全型農業に取り組んでいる生産者への調査結果では、産直等を通して消費者と直接関わることで、生産者は生産者自身の考え方を変え、自らの生活領域である地域をこれまでとは違った視覚でとらえなおし、地域資源の地域内循環を具体的に考え始めていることが見いだせた。そうした生産者が模索する経営組織のあり方、環境問題の経営内部化の手法などについて、調査、研究を行っていく予定である。

 

主な研究業績:

    果樹地帯にみる農家女性の「自立」過程 ―ある共同化への取り組みを通して―、西山未真、農村生活研究、第38巻第2号、29-351994

    家族経営協定の展開と現段階的意義に関する一考察、西山未真、農業問題研究、第42巻、48-601996

    農家女性の成長と普及活動 ―生産と生活の統一的視覚から―、西山未真、農村生活研究、農村生活研究、第42巻第4号、23-321998

    家族経営協定の効果に関する考察 ―締結前後の比較分析―、川手督也、西山未真、村落社会研究、第5巻第1号、21-321998

    村づくりにみる農村住民の「生活者」への成長過程 ―福島県飯舘村を事例として―、西山未真、日本農業経済学会論文集、1999年度版、148-1531999

    Farming and Family Relationships within the Rural Family in Myanmar  -The Case of C Village in Middle Myanmar-, Mima NISHIYAMA, Asian Rural Sociology Presentations of International Conference, Volume 1, 283-295, 1999

    落葉果樹産地における技術革新と経営分化 ―長野県中野市H地区を事例として―、西山未真、長谷川真弓、吉田義明、農業経営研究、第38巻第2号、107-1122000

    「生活者」論ノート ―農村市民社会形成のために―、西山未真、農村工学研究、第68号、42-552001

    農村女性による起業活動の展開と個別経営発展に関する一考察 ―うつのみやアグリランドを事例として―、西山未真、吉田義明、千葉大学園芸学部学術報告、第55号、59-672001

    報告書:ビルマ・半乾燥地域の風土調和型農村社会の形成に関する研究 分担:ビルマにおける農村家族の基層構造 ―家族関係の視点から―、西山未真、科学研究費成果報告書、91-1132001

賞罰:

1996年          矢口光子記念研究奨励賞受賞

2000年 日本農村生活学会奨励賞受賞