トレニアのゲノム進化機構の解明








トレニア・フルニエリ(Torenia fournieri)は、胚のうから胚珠が突出しているその構造(裸性胚のう)から、卵細胞や受精の様子が容易に観察出来ます。
ところで、トレニア属の中で、ゲノム基本数が9(T. fournieri)と8(トレニア・バイロニー、T. baillonii)と異なる2種の種間雑種を育成し減数分裂を観察すると、染色体基本数が異なるにもかかわらず染色体が完全に対合し、一価染色体が出現することを見つけました。これは、異数性による異常形態を示さない過剰染色体が存在する、あるいは進化の過程で特定の染色体が重複して形態異常を示し、これが進化の原動力となったかのいずれかです。このように特定の染色体の増加が種分化に関与している例は知られてなく、トレニア・フルニエリのゲノム進化の過程について詳しく調べていきたいと考えています。