もち病菌 

「もち病」は、担子菌類Exobasidium属菌が引き起こす病気の総称です。Exobasidium属菌にもたくさんの種類があり、種ごとに感染する植物あるいは病徴が異なるのですが、一般的には葉が「餅」のようにふくらんで、その表面に白粉状の子実層を形成するのが特徴です。

↑これはサツキもち病です(ツツジ・サツキもち病菌:Exobasidium japonicum)。写真中央の膨張した組織、とても葉には見えませんが、感染した菌が生産する植物ホルモンのせいで変形した葉なのです。周囲の健全な葉と比べてみて下さい。

 

↑ツツジもち病。ツツジとサツキには同じ種類のもち病菌(Exobasidium japonicum)が感染します。

 

↑これはツバキもち病です(ツバキもち病菌:Exobasidium camelliae)。病徴が進展すると、葉裏の表皮が剥離して白色粉状の子実層が露出します(3番目の写真)。もち病は5〜6月頃に発生するものが多く、ツバキもち病やツツジ・サツキもち病も例外ではありません。この時期に注意深く枝々を観察すると、きっと実物を見ることができます。先日は、某ケーキ屋さんのツツジの生け垣に大発生しているのを見付けました。

 

↑白粉状の子実層を顕微鏡で観察すると、こんな感じに見えます。矢印のところに見えるのが菌の担子器担子胞子です。

担子器を拡大しました。わかりやすく模式図で示すと、右のようになります。担子器には数個(4個の場合が多い)の小柄があり、小柄上に担子胞子が形成されます。担子胞子は飛散して伝染源となりますが、脱落しやすいので、担子胞子が付いたままの担子器を観察するのはなかなか難しいです。

担子胞子付きの担子器の写真です。



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