<<<教育研究分野の紹介

【概 要】


 この研究分野の最大の特徴は千葉大学園芸学部における唯一のランドスケープデザイン及び緑地計画の教育・研究であり、その多くをフィールドワークに重点を置いて実践することにある。
 この分野は昭和48年に造園学科が改組された際に現在の研究室の前身である造園施設学講座として設置された。平成3年の学科改組で都市環境デザイン学に名称変更し現在に至っている。
 設立の当初より「造園施設」の語義をより広義にとらえ、「環境施設としての造園空問」を研究教育の対象としてきた。住宅地における小規模な緑から広域的な緑地や広域的土地利用にいたるまで、多様な空間を生態学的、社会・経済的存在、あるいはランドスケープとしてとらえ、多面 的な分析を試みることによって、環境を総合的に理解し、計画・設計・管理するための論理と手法を構築する目的が堅持されている。



【教育研究の指導】


 現在の教員の構成は教授:田代順孝(工学博士)、助教授:木下剛(博士;学術)の2人構成である。
 上記テーマに加えて、田代はランドスケープマネージメントの領域で国際的な活動を展開し、木下は環境資産の継承手法の研究を手がけている。
 2人が個性的かつ有機的に連携して研究室の運営に当たり、個性的な学生の指導に当たっている。



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【これまでにあつかった研究テーマ】



 これまでにあつかった研究テーマは、
1) 都市のオープンスペースの構造に関する研究
2) 都市農地の空間計画に関する研究
3) 公園緑地の配置、利用、管理・運営に関する研究
4) 緑の空間の機能と効果 に関する研究
5) 歴史的環境の評価と空間構造に関する研究
6) 都市の緑被空間における温熱景に関する研究
7) ランドスケープデザインの理論的発展プロセスと実践への還元に関する研究
などであり、緑地空間の環境施設としての存在意義の解明と実践的展開手法への応用を基本的目標としている。



【卒業研究・修士論文】



 この5年間の教育の中心としての卒業研究の内容は多様であった。毎年10人前後の専攻生が様々なテーマに積極的に取り組み、主に環境計画の観点から都市の空間構成の問題点を追求し、新たな手法展開の課題をとりまとめてきた。
 その一方で設計・制作を卒業研究として扱うことも実験的に認めてきた。また、大学院の修士論文指導においてはより内容を限定的に扱い、問題を掘り下げる形で取り組むことを指導し、その成果 は高い水準のものが続出した。それらの成果のいくつかは学術雑誌、学術報告、各種論説書に発表されている。



【専攻演習】


 専攻演習では計画の理論と実際の関係を学ぶことを主眼として、具体的な地域を選んでフィールドワークを行ってきた。運営の仕方は、大学院自然科学研究科博士前期・後期課程の学生と学部学生が、それぞれの学習到達度の違いを前提に相互に学び合うことに主眼を置いている。近年のテーマと場所は以下のようである。
  平成8年度: 水路の再生を中心とした緑地オープンスペースの
マスタープラン (東京都日野市を事例として)  
平成9年度: 住宅団地の再生を核とした地区の環境計画
(東京都渋谷区、代官山地区)
平成10年度: 太政官公園を核とした公園整備と地区環境計画
(東京都港区、芝公園を主体とする地区)
平成15年度: User Analysis(利用者分析法)を用いた都市公園の問題解決と魅力UPのための調査、分析
(松戸市松戸中央公園をケーススタディーとして)
平成16年度: 市民参加による樹林地管理へのみちすじ
〜松戸市内樹林地の実態調査と市民による樹林維持活動の可能性〜
(松戸市内4樹林地を事例として)
 なお、現在は千葉大学園芸学部の所在地である松戸市を対象に、水・緑・歴史のネットワーク化を中心とした回廊計画づくりに取り組んでいる。