>>>平成 10年度(1998年度)

高橋 宏樹 椎原兵市の遺した図面から見た戦前の設計業務における平面図の役割
概要>>> 造園設計の近代的な意味における業務過程の確立に関して、平面図がはたした意味と役割について検討することを研究目的とする。研究の対象範囲を戦前期というより大きな時代の枠組みの中に拡大し、当時、卓抜した製図力で造園の実務的な設計活動を行った椎原兵市(1886?1966)の活動に焦点をあて、椎原の遺族が京都工芸繊維大学へ寄贈したコレクションの内容を明らかにしながら、設計者が遺した平面図に載せられた図像情報を分析し、設計業務における平面図の役割について検証を行った。
手島 二郎 戦前の東京近郊における郊外住宅地にみる住環境マネジメント
の特質
山崎 隆明 緑地協定締結地における居住者の緑化意向とまちなみ認識の
関係について
米田 剛行 接道部緑地の防災的効果からみた住宅地の環境デザインに
関する基礎的研究
概要>>> 樹木を構成要素とした住宅地の接道緑地の防災的効果に着目し、これを考慮に入れた住宅地の環境を構築するための知見を得るために、東京都区部から12箇所の戸建て住宅地を対象に、市街地における初期火災に対する延焼危険度の低減を図るための一つの手段として、住宅街区の接道空間の緑化を取り上げ、接道空間の構成を物理的に把握し、接道緑地構築の計画的条件とその可能性を明らかにした。

>>>平成 9年度(2002年度)

内川 裕委 デジタルマップとwwwの結合による分散型公園情報ネットワ−ク
の構築
小倉 美智代 大規模公園の形成プロセスにおける計画・整備手法の相違
による影響について
近藤 範和 港北ニュ−タウンの公園緑地整備事業における
「マスタ−デザイン」の役割と有効性
概要>>> 港北ニュータウンにおいて用いられたマスターデザインは、公園緑地整備に関連する計画段階のコンセプトを設計段階に反映させ、計画と設計を繋ぐための新たな手法であった。公園緑地の計画段階で考えられていたコンセプトは、マスターデザインにおいて記号化された整備範疇と特記事項により図化された。マスターデザインは、全域における検討が可能な段階において”全域と個”の関係と検討し、公園緑地と周辺土地利用の関係(場と周辺)を踏まえた整備方針を提示した。マスターデザインが個別の公園緑地の実施設計において反映されていることが明らかになったことにより、計画と設計を繋ぐツールとしての有効性が証明された。
百合本 博子 隅田川の堤防形態の変化と人々の「まなざし」

>>>平成 8年度(2002年度)

大塚 紀子 小中学校における環境教育の推進に関する一考察
千葉市を研究対象地として
押樋 克樹 景観の継承性からみる都市緑地を支える敷地形態の変容
概要>>> 都市の緑地は、緑被地等平面的な解析は行われてきたが、立面的な観点からは変遷を追う研究が無かった。これを追うため「緑景観」という新しい観点を用い、芝周辺を対象地として江戸末期からバブル崩壊後までの都市緑地の変遷を追った。この中で、都市緑地が経済的にも付加価値を付けられ、有効活用、保全が行われてきた姿が浮き彫りになった。
谷島 浩 昭和30年代における児童公園の内部空間の変容とその機能
構造
概要>>> 公園設計の萌芽期である昭和30年代に新設・改修された児童公園が、その設計方法論において当時の社会情勢を反映し、「機能」に重きが置かれるようになっていく過程に着目して、実際の公園空間との関係性を明らかにしようと試みた。当時資料によって設計方法論を検証し、107の公園事例をグラフ理論を用いてモデル化して解析した。その結果、空間構造が分節化と機能特化という方向に進行していくことが明らかになった。
鶴島 孝一 設計競技を通してみた公園の作品性と設計者の位置
野口 健一郎 ランドスケープ・エコロジーを基礎とした景観の動態把握と
その計画論的モデルの構築
概要>>> 本研究では、ランドスケープ・エコロジーに関わる基礎的理論の中でも特に景観を形態論的に扱った理論※から景観のパターン分類の基礎的方法論を援用し、土地開発によってもたらされた景観の変容パターンを分類し、その分布・配置構造を把握することによって、土地開発と土地自然あるいは自然的生態系(環境保全)との間の相互依存的な緊張関係を安定的に維持することのできる空間形態モデルを構築した。ケーススタディ:奈良盆地域
※Forman & Godron,Landscape Ecology.(John Wiley,New York.1986)
Forman,Land Mosaics:The ecology of landscapes & regions.(Cambridge University Press,Cambridge.1995) 他
松本 悟 隅田川沿川の産業施設の変遷と立地形態にみる表裏転換
概要>>> 近代産業発展の舞台となった隅田川沿いの産業施設に着目し、 河川と産業施設の関係がどのように変化してきたかを「河川に対する表裏の認識」という視点から分析することを通じて、 沿川空間のもつ地域環境デザイン上の意義と課題について考察した結果、産業施設の河川に対する表(産業インフラ)→裏→表(環境資源)という認識の変化と、河川と地域との関係を媒介する場としての重要性が指摘されるとともに、地域の論理やニーズを的確に反映した空間デザインが課題とされた。

>>>平成 7年度(2002年度)

山本 珠代 湘南海岸公園成立と変容の過程にみられる地域性の受容

>>>平成 6年度(2002年度)

田村 智志 歴史的市街地における戦災復興土地区画整理事業がもたらした
街並みの基底デザインの変化
概要>>> 本研究では、歴史的な市街地において「地」=街並みの基底デザインに大幅な変化を招来した要因として、戦災復興土地区画整理事業に着目し、この事業がもたらした「地」の形態とその変容プロセスへの影響を、その要因となった換地設計と土地経営の形態を通じて明らかにし、上部構造となる敷地の利用形態や空間構成との関係について考察を行った。戦災をうけた歴史的市街地における景観の秩序回復にあたっては、伝統的な町並み形成の秩序としても存在していた基底デザインを、現代の多様化した敷地利用形態の「たが」として構築し直す必要があることが明らかになった。
根本 哲夫 多摩ニュータウン開発計画の「自然地形案」にみる
オープンスペースの出現形態とその構造的意味
概要>>> 多摩ニュータウン開発計画において、1965年「自然地形案」(自然地形の特性を住宅地の空間構成に反映させた開発計画)が立案された。本論文では、この計画におけるオープンスペースの出現形態にみられる特質を分析するとともに、落合、鶴牧地区でのオープンスペースの基幹空間を住区の骨格として位置づけた「構造化」に先立って、「自然地形案」が住宅市街地のオープンスペースによる「構造化」の概念を確立していたことを明らかにしている。
劉 東啓 緑被地からみた台北市の都市構造とその変容に関する研究