同じ作物を作りつづけると、作物の育ちが悪くなるのはなぜですか。

 

 

 
 おたずねの「同じ作物を、作りつづけると、作物の育ちが悪くなる」現象は、「連作障害」あるいは「忌地(いやち)現象」といわれているものです。これは一見すると同じような現象ですが、下記のような幾つかの原因のものが混在し、本来別々のもので、対応策も異なります(熱が出るという症状はおなじでも、カゼと肺炎、その他の感染症が異なるのと同じです)。いずれにしましても、もう少し作物名や、栽培条件が分かりませんと十分お答えできません。

@肥料養分
 同じ植物や同じ仲間の植物を同じ場所に何年も植え続けると、それらの植物特有の必須養分(微量成分)等のうち特定の肥料養分が不足することがあります。この場合、不足した肥料成分を補給することが対応策です。通常、肥料欠乏を起こすと特有の症状を呈しますので、成分を特定できることが多いのですが、成分が特定できない場合には、堆肥などを施用するとよいでしょう。

A土壌病害
 @と同様に、同じ植物や同じ科の植物を同一場所に連作すると、病害虫、特に土壌病害が多発するようになることがあります。土壌病原菌(糸状菌・細菌)には他種類のものがありますが、特定の作物に寄生することが多いのです。土壌中の病原菌はあまり移動しないので(耕耘や降雨等の水によって移動する場合があります)、同じ作物を連作すると徐々に病原菌の土壌中密度が増加します。そして、ある密度以上になると、実際の病徴として病気が発生します。この場合、作物の根などが病原菌のエサになるわけです。土壌病害の防除には各種の土壌消毒剤(一般的にはガス剤)の利用が有効ですが、近年は、環境に配慮し、熱水や蒸気、太陽熱による熱消毒や、土壌にフスマを混和して湛水状態にして嫌忌発酵させる方法などがありますが、他の複数の作物と輪作することにより、特定の病原菌密度を上昇させないことが昔から行われてきました。コンテナ栽培など少量でしたら、土壌を入れ替えるのが簡単です。
 また、幾つかの作物(キュウリ、スイカ、トマト等)では、病気に強い植物に接ぎ木する方法が極めて有効で広く農家に普及しています。

B土壌線虫
 Aと同じですが、土壌中に病原菌ではなく線虫(ネコブ線虫など)の密度が高まる場合があります。
 対処方法についてもほぼAと同じですが、マリーゴールド等の作物を間に栽培することによる病害と区別しにくい場合や、病害と同時に発生することがあります。

Cアレロパシー物質
 「アレロパシー:allelopathy」とは日本語では「他感作用」と訳されています。
 具体的事例としては、クルミの木やマツの木の根本には雑草が生えにくいとか、アスパラガスの連作障害(いや地現象)がアレロパシー作用によるものとして知られています。この例のように幾つかの作物は、根から有機酸などアレロパシー物質を分泌する場合があります。通常、このアレロパシー物質は、当該植物には無害ですが、他の植物の生育を著しく抑制するものですが、濃度が高まると自分や仲間の生育抑制を引き起こす場合もあります。野菜の仲間では、キュウリやミツバもアレロパシー物質を産出することが知られ、これらの作物を養液栽培する場合、同じ培養液を長期間使用すると生育が阻害され、その培養液に活性炭を入れアレロパシー物質を吸着除去することにより、生育が回復することも分かっており、物質も特定されています。
 以下は学会出版センターから刊行されている「アレロパシー」(E. L. Rice著、八巻敏雄・安田 環・藤井義晴共訳)という書籍から引用します。
 「アレロパシー」はMolischという学者が1937年に提唱した言葉で、微生物を含む植物相互間の生化学的な関わり合い を広く指しています。(微生物を含む)ある一種の植物が生産する化学物質が環境に放出されることによって、他植物に直接又は間接的に与える作用を指しています。この「作用」には植物や微生物の生育を阻害する場合と促進する場合の両方が含まれます。ポイントは生育阻害などに「化学物質」が関わることで、いわゆる「競合」とは異なるものです。(引用以上)
(回答者:丸尾 達)


 

 

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