環境文化論(2単位/前期)
担当:山内正平 
履修年次 3年次〜
【授業目標】
この講義の目的は,主としてヨーロッパの近代化にともなって発生する感覚変容の問題に対して文化史的,思想史的な関心からアプローチし,現在のわれわれが生きている文化的環境の歴史的意味を問うことである。とりわけ19世紀以後の近代ヨーロッパにおける視覚経験の変容をたどりながら,空間と場所の意味,人間と風景の関わり方を具体例をとおして考える。
【授業内容】
ベンヤミンを中心に,フーコー,バルト,ボードリヤールなどの思想家のテキストを用いて、19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパにおける文化的変容のありようを考える。
ヴェルヌ,シェーアバルト,乱歩,川端康成などの内外の作家の作品を通 して、都市の様々な視覚的装置と経験、近代的イマジネーションの意味を考える。
ラング,エイゼンシュテイン,ムルナウ等の映画,シュティーグリッツ,マン・レイ等の写 真,アーツ・アンド・クラフツ,アールヌヴォー,ドイツ工作連盟やバウハウスの造形作品を見ながら、それぞれの表現者がいかに近代と向き合って創造的活動を展開したかを考える。

以上の3点を踏まえつつ、以下のテキスト(コピーを配布する)をベースにして授業を進める。
1) ベンヤミンを中心に,フーコー,バルト,ボードリヤールなどの思想家のテキストを用いて、19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパにおける文化的変容のありようを考える。
2) ベンヤミン『パリ−19世紀の首都』。扱う主題は、フーリエ,パサージュ,ダゲール,パノラマ,グランヴィル,万国博覧会,商品,室内,オスマンなど。19世紀から20世紀初頭の芸術運動の流れを意識しながら講義を進める。

講義で使用するその他のテキストは必要に応じてできるだけ配布する。
(内容は変更する可能性があるが,詳細は最初の授業時に述べる)

【参考文献】
ベンヤミン『複製技術時代における芸術作品』,『映画小史』,『パサージュ論』,『一方通 行路』など
(晶文社,ちくま学芸文庫,岩波文庫など)
フーコー『監獄の誕生』,『言葉と物』(新潮社)
ジュール・ヴェルヌ『海底2万哩』
H・G・ウェルズ『タイム・マシン』(創元SF文庫など)
鈴木博之『都市へ』(日本の近代,第10巻,中央公論新社)
その他は授業中に指示する。

【1999年度プリント】

1)「都市の記憶」
2)「ヴァルター・ベンヤミンへ」 
3)「ガラス空間とユートピア」
4)「サン=シモンとフーリエ」
5)「パノラマと視線の変容」
6)「万国博覧会というテキスト」
7)「住むことの変容」
・評価方法  何回かミニペーパーを提出してもらい,期末試験またはレポートを課す。
・備考
ここに書いておいたテーマ,主題,キーワードなどについて,少しでも自分で勉強して知識を得てから講義に参加してほしい。 参考文献は期末試験,レポートなどに関連させるつもりなので,できるだけ読んでおくこと。 この授業では私語が少なく,かつて私語で注意を与えたことがないので,今後もこの状態が続くことを期待しています。