主な研究テーマ

研究のキーワード: 食品、疾病予防、抗炎症(肝炎含)、トリプトファン代謝、脂質代謝、抗メタボリックシンドローム、抗肥満、難消化性糖類(食物繊維)、アミノ酸、フィトケミカル、動物(マウス・ラット)、細胞培養、遺伝子発現、栄養生化分子栄養学

プロジェクト1
(1) 食品成分の生体防御機能に関する研究
     (抗肝炎、抗炎症、脂質代謝改善食品成分の探索と作用機序

 本研究ではラット・マウスやヒト由来の培養細胞を用いて生体における各種障害(肝炎、炎症)の発症あるいは進行を抑制、防御する食品中の因子を探究し,さらにその作用機序の解明を進めています。この研究に関して現在行っているテーマは以下の通りです。
・食物繊維など機能性を有する難消化性糖類、およびアミノ酸、ペプチドの肝障害の抑制、抗炎症作用とそのメカニズムに関する研究 
・未利用資源穀類外皮を活用した食品素材の開発と機能評価
 
(肝障害予防作用、抗炎症作用、脂質改善作用、糖尿病改善、肥満改善等)




プロジェクト2
(2) 食品成分によるトリプトファン代謝鍵酵素の遺伝子発現調節機構および生理的役割に関する基礎的研究

 ACMSDは、生体内で必須アミノ酸のトリプトファンから水溶性ビタミンのナイアシンへの転換率を支配する鍵酵素です。近年ACMSDは単にトリプトファンからナイアシンへの転換率に影響を及ぼすだけでなく炎症、免疫系や中枢神経系への新たな機能が注目されています。本研究では本酵素とコレステロール代謝や免疫系との関連性などACMSDの新たな機能の解明を目的としています。
 
また、食品成分、ホルモン、外部環境の変化によるACMSD遺伝子発現変動のメカニズムを、動物や培養細胞を用いて分子レベルで研究しています。
 他に、京都大学医学部斉藤教授と炎症に関わるトリプトファン代謝産物の共同研究を行っております。 

 当研究室では哺乳類からはじめて鍵酵素ACMSD(αアミノβカルボキシムコン酸εセミアルデヒド脱炭酸酵素)の精製とクローニングに成功しました
J Nutr Sci Vitaminol, Biochem J, J.B.C.)



プロジェクト3
(3) 新開発食品素材の安全性と有効性の評価手法に関する研究

 
いわゆる健康食品や機能性食品素材の生体への影響を正しく評価するため、マウス・ラット、細胞を用いて、その体内代謝系への影響や体内栄養素レベルへの影響や安全性について研究しています。

・新開発食品素材の有効性(肝障害、糖尿病、脂質代謝改善作用等)に関する研究
・新規素材の安全性と有効性、代謝、体内動態に関する研究
・食品成分の機能を評価する系の開発 (DNAマイクロアレイ等)



プロジェクト4
(4) フェルラ酸を含む穀物細胞壁分解断片の生理機能に関する研究
 
 穀物細胞壁は食品成分としては食物繊維に該当します。試料としてとうもろこし外皮を用い、加水分解しフェルラ酸(ポリフェノールの一種)のエステル配糖体を可溶化したところ、リノール酸の自動酸化に対する抗酸化活性、DPPHラジカルに対するラジカルスカベンジャー活性、CCl4により誘導されたラット肝ミクロソームの脂質過酸化およびCu2+により誘導されるLDLの酸化に対し、抗酸化活性を示しました。
 細胞壁断片を摂取したラットLDLの酸化に対する抵抗性とフェルラ酸の血清中での存在形態を調べ、消化管内でエステル結合が切れ、吸収されることも明らかにしました
J.Agric.Food Chem., J.Nutr.)
 


プロジェクト5
(5) 野菜の生理機能に関する研究

 ヘミセルロース、ポリフェノール、カテキンなど野菜、穀類等植物に含まれるフィトケミカルの生理機能を解明することを目的として研究を進めています。
 また栽培の専門家である千葉大学(高垣教授)、日本大学(倉内准教授)と共同で機能性植物に関するプロジェクト研究を行っています。野生種赤軸系統エンサイ(空芯菜)の機能成分の同定を目指しています。

 

プリジェクト6
(6) 妊娠期の栄養状態が胎児および生まれた仔の肥満関連因子に及ぼす影響 

 妊娠期における親の栄養状態(栄養素の制限)が、胎児および生まれた子の脂質代謝、糖代謝にどのような影響を及ぼすか分子レベルで明らかにすることを目的とした研究です。エピジェネティックな情報も調べています。


その他の研究でも、富山大学(工)、城西大学(薬)、農水省、企業と食品素材の開発・機能性に関するプロジェクト研究を行っております。