リモートセンシング
1リモートセンシングの基礎
1.1リモートセンシングとは
離れた場所から対象を観察すること。望遠鏡による地上や天体観測,レーダーによる飛行物の認識,顕微鏡による観察なども広義にはリモートセンシングといえる。
狭義には,衛星などから地上を撮影し分析する技術のことをいう。以下では,主に衛星リモートセンシングについて述べる。
1.2リモートセンシングは何の役にたつか
行けないところの様子がわかる。特に,海外の僻地,立入禁止区域,災害地域など。
迅速に調査が可能。
地上の調査では労力がかかりすぎるため得ることが難しい広域の情報を,知ることができる。
例えば,土地被覆,標高,地形変化など
1.3リモートセンシングのセンサ
リモートセンシングのセンサの話の前に,人間の目について述べる。
人間の目は,非常に優秀なリモートセンシングのセンサといえる。
リモートセンシングではある,波長域(バンド)の画像を得る。
目をセンサーとしてみたとき,そのバンドは,赤,緑,青の3つである。
網膜とはカメラでいえばフィルムやCCDにあたる。10層からなり,厚さは中央部で0.3mm〜0.4mm,周辺では0.15mm程度。視細胞には,桿体と錐体の二種類の細胞がある。
桿体細胞:明暗を感知する。数は,1億2000万個。明暗を感知するタンパク質を「ロドプシン」と言う。「ロドプシン」は、光子1個のある成しを判定することができます。
錐体細胞:ある程度の明るさで,RGBの色を認識するセンサー。数は,片目で約650万個あるのだそうです。光の波長に反応するタンパク質を「オプシン」と言いRGBに対して3種類ある。オプシンが色を感知するのには光子の数にして100個程度が必要
視細胞に届いた光は,電気信号に変えられ神経線維層を通って神経にいき,この信号が大脳の中枢にいってものが見えるのです。但し、桿体細胞1億2000万個,錐体細胞650万個に対し,網膜の情報を脳に伝える神経は120万個程度しかない。したがって,膨大な元の画像データに画像処理が施され,「線」「傾き」「色」「円」などといった情報に変換され脳に送られていると考えられる。
オプシンが色を感知するのには光子の数にして100個程度が必要ですが、桿体細胞は、光子1個のある成しを判定することができるため,人間の目は「輪郭」というものを極めて鮮明に捉えることができる。これは、かつて哺乳動物が夜行性であったためと考えられる。
錐体をデジタルカメラの画素とすると,目は,約600万画素のカメラと言える。現在売られているデジカメはすでにこの域に達している。目の解像度は,近接20cm程度で,10ピクセル/1mm程度の認識力
衛星リモートセンシングのセンサは,1画素,あるは1ラインをスキャンするものが,用いられてきた。
1.4電磁波の波長帯域
リモートセンシングで見る波長は,多岐にわたる。
人間の目が感知できる波長域は,可視域のみで電磁波の波長全体から見れば,ごくわずかである。
リモートセンシングで,よく使用されるのは,可視光,赤外光,マイクロ波など。
エネルギーと波長と周波数の関係
ある周波数をもつ電子のエネルギーは,次式で表される。
ここでh はPlanck定数 (6.6260... x 10-34 J・s), νは周波数。 波長と周波数の関係は,次式で表される。
ここで, c は光速を表す。以上の式より
異なる物体の色が異なる理由は,その物体の反射特性が異なるからである。
土地被覆分類では,反射特性の違いから,土地被覆を特定する。