フリーウェア紹介(コンピュータグラフィックス,景観シミュレーション関係)
Pov-Ray http://www.povray.org/
レイトレーシングを行うソフトウェア。
景観というより,一般的な3次元CG用のソフトウェア。Pov-Ray自体はプログラムを読み込んで実行するので,モデリングのためにはプログラムを書くか,Pov-Ray用のモデリングソフトウェアを使用する必要があります。最新ソフトに比べると,少し不便ですが,3次元CGを理解するにはむしろ良い点です。
日本語の参考書は少なく,下記のものを含め2,3冊だと思います。
Pov-Rayではじめるレイトレーシング,Ascii books,小室 日出樹著,3990円
しかし,Pov-Rayを解説した日本語ホームページは多数あり内容も充実しているので,まずはそちらで勉強することをお勧めします。
カシミール http://www.kashmir3d.com
「可視+見る」とカシミール地方をかけた名前。
山を中心とした景観作成,再現が行える。機能から考えて,これがフリーソフトであるのは,驚くべきことです。
さまざまな形式のDTMやGPSデータを取り込む機能を豊富に持っており,山好きの人やフィールド調査などに,大変役に立つ。山の名前なども,知るのに便利。
最近は標高データ付の参考書(『カシミール3D入門』,『カシミール3DGPS応用編』,『カシミール3Dパーフェクトマスター編』実業之日本社)も多く出版されています。DTMや地図などの付属データも充実しています。インターネットから地図や航空写真のダウンロード機能(有料)も,サービス開始となり,ますます便利になった。詳しくは上記のホームページを参照のこと。
Terragen http://www.planetside.co.uk
使ったことはないのですが,公開されている作品の品質は Bryce,Vue d’Esprit並みあるいはそれ以上といえます。
Land3d1.1 http://www.h.chiba-u.ac.jp/terra/softcg.html
Windows上で手軽に地形可視化が行えるソフトウェア。カスミや、霧の効果を入れることも可能。東海大時代の学生である竹内伸也氏と本條の作品。当時(1995年頃)としては,良いソフトだったと思います。カシミールのホームページでも紹介されている。
VR-Terrain http://www.h.chiba-u.ac.jp/terra/vr-terrain.htm
VR-Terrainは,緑地環境情報研究室で開発中の植物を含む景観を設計するシステム。(VRはVirtual Reality仮想現実感の略) 景観の記述にはVRML(Virtual Reality Modeling Language)を使用。フリーのソフトで,リアルタイムで景観中を動きまわれるのは,世界中でもVR-Terrainのみではないかと思います。
最近の改良で,グラフィックユーザーインターフェイス(GUI)を備えたので,誰でも簡単に景観を創り出しその中を歩く体験ができるようになりました。GUIを使用するようになって,初心者が景観作成作業に習熟するのが非常に早くなりました。GUIを備えたVR-Terrain(VRT-GUI)やその他のソフトウェアが現在ダウンロード可能です。
Q 3次元CGは緑地環境学で何の役に立つのか?
A
一般的にわかりやすく何かを説明するためには,3次元CGは基本的な技術で,ワープロや表計算とともにコンピュータリテラシーの一つと言ってもよいと思います。また,CGの描画の理論は,色彩工学,照明工学,微気象学,リモートセンシングなどさまざまな工学分野と関連しています。
緑地のデザインや計画をする人は,簡単に正確なパースを描ける3次元CGの便利さは明らかと思います。景観シミュレーションを3次元で行えると,図面に描いた計画をわかりやすく人に説明することができます。手書きのスケッチなどと,3次元CGと併用するとより効果があがると思います。
植物のCGは,植物がどのように生長するかという話と密接に関連しています。植物の生態などへの応用も可能です。成長モデルの基礎という意味で,植物CGの初歩を理解するのは有用です。