エビ・カニや昆虫の外骨格等を構成するキチンは N-アセチルグルコサミンのポリマーで、このアセチル基が無いグルコサミンから出来ているのがキトサンです。
キトサンを特異的に分解するキトサナーゼに関して、その立体構造が私達によって決定されています(PDB Code; 1QDGI)。
さらに他の糖質加水分解酵素との違いや新規酵素の創製に向けて研究を進めています。
具体的には自然界からキトサナーゼ生産菌を分離し、
* その酵素の生化学的特性の解明
* 遺伝子のクローニング
* 遺伝子組み換えによる酵素の大量発現系の構築
* 部位特異的変異処理による変異酵素の創造
* その酵素の立体構造の解明
などをおこなっています。
このキトサナーゼの立体構造は、京都大学 大学院理学研究科 化学専攻生物構造化学分科 三木研究室 三木邦夫教授 との共同研究で決定されました(PDB
code; 1QGI)。
・MH-K1株キトサナーゼの立体構造
細菌(Bacillus circulans) MH-K1株のキトサナーゼ酵素タンパク質はダンベル形をしていて、上と下の部分を長いαヘリックスが繋いでいます。
この上下のすき間に基質のキトサンが挟み込まれて、加水分解されます。

紫がαへリックスで、ブルーがβシートです。
赤い部分は、動きやすい構造を示しています。
また、触媒アミノ酸のアスパラギン酸とグルタミン酸が示されています。