溶液への溶解性と酸・アルカリ添加による色の変化での色素の判別
色素成分にはそれぞれ特有の溶液に対する溶解性や酸・アルカリ添加による色の変化(表1)があります。
この性質の違いを利用すると、含有されている色素成分がどのグループであるかがわかります(図11)。
表1花に含まれる主な色素成分の色と性質
色素 |
色 | 溶性 | 色の変化 | ||
アルカリ | 酸 | ||||
フラボノイド | アントシアニン類 | 橙、赤、紫、青 | 水 | 青〜紫次第に退色 | 赤 |
フラボン類 | 黄 | 水 | 濃黄 | 不変 | |
カロチノイド | 黄、橙、赤 | 油 | 不変 | 不変 | |
ベタレイン | ベタシアニン類 | 赤紫 | 水 | 黄 | 不変 |
ベタキサンチン類 | 黄 | 水 | 不変 | 不変 | |
クロロフィル | 緑 | 油 | 不変 | 不変 |
a.橙・赤・紫・青色花
アントシアニン類、ベタレイン、カロチノイド色素のいずれかです。(注:ベタレイン色素による青色花は発見されていません。)
水やベンジンに対する溶解性やアルカリに対して青や紫色に変化するか、黄色になるかなどで見分けられます(図11)。
b.黄色花
フラボン類、ベタキサンチン類、カロチノイド色素によるものです。
フラボン類とベタキサンチン類は水溶性、カロチノイド色素は油溶性です。
フラボン類かベタキサンチン類かはアンモニアに対する色の変化で区別できます(図11)。
c.白色花
大抵の白色花は、ほとんど感知できない程度に淡い黄色の花で、これはフラボン類の色素です。
フラボン類は紫外部に吸収をもち、人間には見えなくても花粉媒介を行う昆虫には見えるので、これも立派に色素といえます。
フラボン類が含まれているかどうかは水への溶解性で判別できます(図11)。
図11
橙、赤、紫、青色花
→水に対して
@溶ける→→アルカリを加えると
@青、紫から緑色へと変わり次第に退色→酸(塩酸)を加えると赤色→アントシアニン類
A不変→ベタシアニン類
A溶けない(油溶性)→ベンジンに対して 溶ける→カロチノイド
黄色花
→水に対して
@溶ける→→アンモニアで
@濃黄色→塩酸での処理で 黄色の沈殿→フラボン類
A反応しないが分解し退色→ベタキサンチン類
A溶けない→ベンジンに 溶ける→カロチノイド
白色花
→アンモニアで
@黄色→フラボン類
A不変→色素を含まない