花弁の組織構造の変化


以上の花色変異は、細胞内での色素そのものの色の変化に起因するもので、科学的な原因によるものだが、色素を含む花弁の組織構造が光の条件に影響を及ぼして、色素自身の色調を変化させることがある。


例1.バラの黒色花

バラの黒色品種と赤色品種とは同じアントシアニン色素を含むが、花弁の表皮細胞が黒色花の方が赤色花よりも細長くなっており、花弁の斜め上から光が当たった場合、表皮細胞の影が細胞が細長ければ長いほどできやすく、その影が本来は赤色の花弁に黒色味をあたえていると考えられている。

14 バラ花弁の黒さの原因の一つ。同じ角度で光が当たったとき、 表皮細胞が細長いか、平たいかによって、できる影の量が違う

図15 バラの黒い花弁と(左)と赤い花弁(左) の表皮細胞の影


例2.白色花

植物界では今までに白い色素は知られていない。花が白く見える原因は花弁に含まれている気泡で、無色透明の空気も小さな泡となれば白く見える、水の中の小さな泡が白くみえるのと同じである。


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