植物の染色体解析








 生物の染色体は、それぞれの種に固有の数や形態をもっています。それを、染色体の数と形態であらわしたものを核型(カリオグラム)といいます。そして植物間の核型をもとにして、植物の類縁関係や系統分化などを調べることができ、このような分析を核型分析といいます(植物の遺伝と育種、朝倉書店)。


 現在研究室では、バラ属の野生種とオールドローズとの類縁関係を調べるために、核型分析を行っています。バラ属の核型を基に、画像解析ソフトウェア(CHIASV)を用いて作成したイディオグラムが図1になります。


図1 2n=14の染色体をもつバラ属の野生種
Rosa multifloraのイディオグラム

 イディオグラムには、動原体の位置、付随体や二次狭窄の有無、ギムザ染色による濃淡に加え、蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法によって位置づけされたリボソームRNA遺伝子(図2)が示されています。そして、このイディオグラムを比較することで、バラ属の類縁関係が明らかになるのではないかと考えています。


図2 Rosa multiflora染色体のFISH画像
緑色の部分がリボソームRNA遺伝子


 また、マメ科のモデル植物である、ミヤコグサ(Lotus japonicus)では、FISH法を用いて染色体の転座領域を特定しています。