遺伝・育種学研究室は平成3年度の学部改組により、従来の育種学講座を基礎として発足した。当初、池橋宏教授が担当したが、平成4年10月に木庭卓人助教授が石川県農業短期大学から転入して教官2人の体制ができ上がった。平成5年10月に池橋教授が京都大学に転出した後、平成6年10月に農林水産省農業生物資源研究所から原田久也教授が着任、平成17年3月に定年により退職した。4月より木庭が教授に昇任。6月には横浜市立大学木原生物学研究所より佐々英徳助教授が就任。平成19年度の改組により教員の所属が大学院園芸学研究科に移行。研究室体制は解消したが、研究グループとして従来のまま遺伝・育種学研究室として活動している。平成20年12月、ウィスコンシン大学PDから菊池真司助教を迎え現在に至っている。

育種学は生物のもつ遺伝的特性を人類の生存のために役立つように改良してゆく手法を開発する応用学問である。当研究室では、植物の分子遺伝学と細胞遺伝学に関する基礎的および応用的研究を行っている。植物のDNA分子、染色体、タンパク質、表現型の各レベルにおける情報を有機的に結びつけることによって、遺伝のしくみや発現の仕方、系統分化の過程等を明らかにし、植物の遺伝学、育種学に役立てたいと考えている。
 教育面では、一人ひとりの学生の能力が最大限発揮できることを目標に、当研究室の教員だけでなく多種多様な専門を背景とする非常勤教員や研究者が、講義やゼミなど通して研究指導を行う。

 主要な授業科目は遺伝学と育種学であるが、学部では前期に遺伝学、後期に育種学と細胞遺伝学を割り当て、遺伝学を基礎として育種学が理解しやすいように努めている。また研究室に分属した3年生には分子遺伝学の基礎をさらに学習させている。大学院では前期課程で植物分子育種学、後期課程で植物ゲノム科学、ゲノム機能解析論を学ぶ。


主な研究テーマ

・ コムギの異種植物との交雑親和性に関する細胞学的・分子遺伝学的研究
・ 植物の染色体解析・分子系統学的解析
・ 分子マーカーを用いた連鎖地図の構築とQTL解析
・ 自家不和合性の分子機構に関する研究
・ イネの生殖関連形質の解析