大学院進学にあたり,当研究室を志望される人達へのコメント


 私たちの研究室はフィールドワーク一本勝負です. フィールド現象は極めて複雑で,調査結果が必ずしもクリアに出ないことはごく普通です. しかし,だからといって,フィールドでの生態的な現象が でたらめに起こっているわけでは決してありません.

 複雑なみかけに潜む,有機的な秩序があるはずです. フィールドでの現象には植生,地形,地質,気候,そして時間の要因が様々なスケールで絡み合っているので, 我々には秩序が見えにくいだけなのです.

 フィールド現象を丹念に解きほぐし,その要因を整理し,秩序を明らかにするためには, 柔軟で,様々な角度からの考察が不可欠です.フィールドワークに本当に必要なのは, 体力ではなく(もちろん体力があることは望ましい),知的なねばり強さ, いわば,知の体力です.フィールドワークは知の総合格闘技と言えるでしょう.

 フィールドと生態学的に真正面から取り組み,知の総合格闘家をめざすとき, 狭い意味での専門は意味を持たなくなります. むしろ,学生時代には生物学など全く触れることなく, 人文科学や社会科学を修めた人の方が,生態学に転じたときに, 刺激的で,魅力に満ちた論文を仕上げることが多いのです.

 このため,他の生態学関係の研究室ではなかなか受け付けてもらえない内容の修士論文や博士論文 (たとえば,他学問との境界領域である・扱う生物群があまり一般的ではない・ 環境変遷と関連した内容で純粋な生態学とは言いにくい,などなど)を できるだけ前向きに受け止めてゆくことをモットーとしています.

 生態学にとって必要なことは,フィールドに強い関心を抱くことだけです. それまでに経験した学問分野は全く関係ありません. 興味がある人は以下の連絡先(電子メールアドレス)を参照して下さい.


教官
沖津進:okitsu@faculty.chiba-u.jp
百原新:arata@faculty.chiba-u.jp