【プレスリリース】 ゲノム解析が解き明かした"他人の空似" ―孤島で見つかったツツジは新種だった―
掲載日:2024/12/04
千葉大学大学院園芸学研究院の渡辺洋一助教と京都大学大学院人間・環境学研究科の阪口翔太助教を中心とする国際研究グループは、ツツジ科植物の集団ゲノム分析により、韓国南方の無人島に生育するツツジが新種であることを解明しました。
このツツジは「チョウセンヒカゲツツジ」として新種記載され、日本産の「ウラジロヒカゲツツジ」との形態的な類似が収斂進化によるものである可能性が示されました。
本研究成果は、2024年11月30日に国際学術誌「Taxon」にオンライン掲載されました。
今後も、遺伝的多様性の回復や生育環境の保護を通じて、絶滅危惧植物の保存に向けた取り組みが期待されます。
主な成果:
- 新種「チョウセンヒカゲツツジ」の発見
韓国の無人島に生育するツツジが、日本産のウラジロヒカゲツツジとは異なる進化的起源を持つ新種であると判明しました。 - 収斂進化による類似性
両種は形態がよく似ていますが、異なる進化の道筋を辿っており、岩場の乾燥環境に適応した結果、収斂(しゅうれん)進化*が起きたと考えられます。
*収斂進化:異なる進化的起源を持つ生物種が、似たような環境に適応する過程で、外見や特徴が似通うようになる進化現象 - ツツジ3種の独立性を証明
ヒカゲツツジ、ウラジロヒカゲツツジ、チョウセンヒカゲツツジの3種が、それぞれ遺伝的に独立した種であることが明らかになりました。 - 遺伝的多様性の低さと保全の重要性
ウラジロヒカゲツツジとチョウセンヒカゲツツジは遺伝的多様性が非常に低く、各個体群の保護と維持が急務であることが示されました。
本研究で集団ゲノム分析の対象とした3種類のツツジとその生育環境。
A:日本国内に広く見られるヒカゲツツジ、B:日本産のウラジロヒカゲツツジ(栃木県鹿沼市で撮影)、
C:朝鮮半島南方の無人島で発見された新種のチョウセンヒカゲツツジ、D:ヒカゲツツジが生育する山地、
E:ウラジロヒカゲツツジが生育するチャートの岩壁、F:新種のチョウセンヒカゲツツジが生育する無人島。
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