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【研究トピックス】枯草菌の形質転換を革新:抗生物質不要の遺伝子組換え技術を開発-相馬 亜希子講師-

【研究トピックス】枯草菌の形質転換を革新:抗生物質不要の遺伝子組換え技術を開発-相馬 亜希子講師-

掲載日:2024/10/21

千葉大学大学院園芸学研究院では、教員による多彩な研究が日々進められています。
この記事では、各研究者の挑戦的な研究成果をお届けし、園芸の新たな可能性を探ります!

今回は、相馬 亜希子講師らの研究チームが、遺伝子組換えの効率を飛躍的に向上させた「ウルトラコンピテントシステム」の開発についてご紹介します。
この技術は抗生物質を使わずに枯草菌の形質転換を行うことを可能にし、遺伝子研究やバイオ生産分野での幅広い応用が期待されています。

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【研究の内容】
相馬講師とその研究チームは、土壌微生物である枯草菌の高効率形質転換系「ウルトラコンピテントシステム」を開発しました。
枯草菌は大腸菌と並ぶモデル微生物として古くから基礎および応用研究に広く使われています。
枯草菌はバクテリアの中でも特に高い自然形質転換能を有しますが、遺伝子組換え体の取得には抗生物質を使った選択が必要であり、また、受容菌(コンピテントセル)の調製には一定の時間がかかっていました。
今回の研究では枯草菌の形質転換能を極限まで高めることで、抗生物質を使用せずに組換え体を取得したり、複数の遺伝子を同時に組換えたりすることが可能になりました。
また、コンピテントセルの調製時間の大幅な短縮に成功しました。

【今後の展望】
枯草菌はバクテリアの遺伝学・分子生物学の材料として、また、洗剤用酵素や抗体など物質生産の宿主として利用されてきました。
近年はゲノム縮小プロジェクトが進められていますが、機能性ノンコーディングRNA遺伝子についてはその煩雑さから手付かずのままでした。
本システムの開発により簡便かつ迅速なゲノム改変が可能となり、当研究室ではRNA遺伝子の網羅的な欠失株の構築を行っています。
また、本システムを納豆菌など他菌種に導入し、バクテリアの遺伝子組換え方法の改良と有用株の創出につながることが期待されます。

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