日本土壌微生物学会2024年度大会においてポスター賞を受賞しました!
掲載日:2024/06/18
大学院園芸学研究科博士前期課程2年次の大矢朱莉さん(園芸科学コース・生物生産環境学領域・植物病学研究グループ)と、園芸学部4年次の三井彩花さん(応用生命化学科・微生物工学研究室)が、日本土壌微生物学会2024年度大会においてポスター発表を行い、それぞれポスター賞を受賞しました。
おめでとうございます!
【受賞詳細について】
大矢朱莉さん(最優秀ポスター賞)
演題:Berkeleyomyces rouxiaeのレタスに対する病原性の分化
発表の概要:
Berkeleyomyces rouxiaeは、植物の根に感染して「黒根病」を引き起こす土壌伝染性の植物病原菌です。日本では古くから、タバコやオクラ、ニンジン、パンジーなどにこの病気が発生していました。ところが、2016年にレタスの「黒根病」が日本で突然発生しました。日本に古くからいた病原菌と、新たに発生したレタスの病原菌のDNAを比較したところ、両者は大きく異なりました。また、古くからの病原菌を繰り返しレタスに接種する実験を行いましたが、レタスには病原性を示しませんでした。このように、生物学的には同じ種に属する「黒根病菌」の中にも"遺伝的特徴"や"病原性"が明確に異なる系統が存在し、菌の分化が進んでいることが示されました。
三井彩花さん(優秀ポスター賞)
演題:カプロン酸のVerticillium dahliaeに対する生育阻害効果の検討
発表の概要:
Verticillium dahliaeは、様々な植物の根に感染して道管内で増殖し、世界中の作物栽培に被害を与える重要な植物病原菌です。この菌は、「微小菌核」と呼ばれる器官を形成し、土壌の中で十数年以上も生き続けます。そのため、土壌が菌に汚染されてしまった場合は、土壌を消毒する必要があります。これまでの研究で、農薬を使用しない「土壌還元消毒」という手法で消毒を行った場合に、土壌中の微生物が「カプロン酸」という化合物を生産することを新規に報告しました。今回の研究では、このカプロン酸がVerticillium dahliaeの微小菌核を強く消毒することを明らかにしました。本研究は、これまでにない新たな土壌消毒法の開発につながる成果です。