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体験農園等による食と農業の癒し機能をテーマにセミナーを開催しました

掲載日:2024/01/22

2024年1月11日(木)、千葉大学松戸キャンパスの100周年記念戸定ヶ丘ホールにて、食と緑の健康創成学講座主催セミナーが開催され、オンラインでの参加も含めた120名以上の参加者が聴講しました。

千葉大学大学院園芸学研究院「食と緑の健康創成学講座」では、緑の健康機能やそれらの利用に向けた技術開発、地域の健康活動や生きがいづくりに関わる学問を統合し、新たな価値の創出を目指しています。

今回のセミナーでは、体験農園等による食と農業がもつ癒しの機能に焦点を当てながら、専門家たちが多角的な視点から現段階までの研究成果と今後の研究の方向性について報告を行いました。園芸学研究院からは、齋藤雪彦教授、岩崎寛教授、吉田行郷教授の3名が講演しました。

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セミナー講演者(写真左から)岩崎教授、齋藤教授、吉田教授、岡村氏、渋谷氏

緑地・農的環境を生かした地域計画を専門とする齋藤雪彦教授は講演の中で、都市の人口減少や住宅需要低下を背景とした都市農業、体験農園の歴史的展開を解説しました。
また、千葉大学プロジェクト(園芸フロンティア研究)の紹介の中で、地域型体験農園(コミュニティガーデン)が人と社会をつなぐ役割を述べました。
最後に、研究室での、食と農を活かした地域づくりプロジェクトの実践事例を紹介しました。
これは、活動を通じて地域社会を元気にするとともに、豊かな都市・地域生活を実現するためのしくみや空間形成をゴールとするものです。

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(写真)講演をする齋藤教授

次に岩崎寛教授は、緑のセラピー効果を活用した地域ケアの取組みについて、厚生労働省が推進するヘルスプロモーションである「ゼロ次予防」の観点から解説しました。
続いて、植物や健康への関心の有無に関わらず、環境を変えることで自然に健康になれる「ゼロ次予防」の発想を基本とした取り組みについて紹介しました。 
具体例として、高速道路のサービスエリアでは、利用者の移動経路に緑地やハーブなどを配置することで、普段通りの利用でもストレス緩和効果が得られたことや、ゴミの不法投棄などが問題となっている公園では、「摘んで良い花壇」を設置することで、地域住民の公園に対する愛着が生まれ、公園が地域のコミュニティの場として生まれ変わったことが紹介されました。

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(写真)講演をする岩崎教授

続いて、農林水産省と共同で農業と福祉の連携(農福連携)の推進に取り組む吉田行郷教授は、誰もが「農」に親しむことができる「ユニバーサル農園」を通じて利用者の社会参加や生きがいづくり、健康増進を促す効果があることに触れながら、都市近郊でのユニバーサル農園の取組みの現状について紹介しました。
また、今後の展望として、地方公共団体による取り組みや地域住民の自主的な地域福祉の取り組みでの可能性について言及し、ユニバーサル農園の形成過程の研究、既存の体験農園のユニバーサル化について研究を行っていくことが報告されました。

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(写真)講演をする吉田教授

また、学外の講演者からは、実際に運営するコミュニティ型体験農園での取り組みや、医療におけるケアファーム(治療やリハビリ、ケアのための農園)の可能性についての発表がありました。イベント終了後のアンケートでは、回答者の80%から「非常に満足」と回答があり、多くの参加者の期待に応えたセミナーとなりました。

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