4月23日(第2講)
- Q:DNA合成の際に使われたRNAプライマーの運命?
- DNAが合成される際のポイントは授業でも強調しましたが、1)5'->3'の方向にしか合成が起こらない、2)合成を開始する為には必ずDNAまたはRNA(さらに稀にタンパク質)の3'-OHが必要であることです。2本鎖DNAが合成される際のラギング鎖、DNA複製の開始の際には短いRNA鎖がまず合成されて、その3'-OH端からDNA合成が開始されます。DNAが合成されてしまうと、DNAの2本鎖の一部分が異質なRNAからできている、という妙な構造になりますので、そのRNAの部分はDNAの中での異常な部分と認識され、切り取られて修復される。これによりDNA複製が完成することになります。
- Q:大腸菌のDNAポリメラーゼ?
- Kornbergが大腸菌からDNA合成酵素を精製、同定した後に、CairnsがDNA合成酵素活性の殆どない大腸菌変異株を単離しました。この大腸菌は元気に生育することができます。もちろん、これは酵素活性の測定上の問題で、DNA合成が全くできなければDNA複製ができませんから、増殖できるはずがないですね。これはおかしい。
- その後、DNA合成活性をより詳細に調べることで、最初のKornbergの酵素とは異なる酵素(複合体)が次々に見つかりました。そこで、最初に見つかったDNA合成酵素のことをDNAポリメラーゼI、見つかった順番にDNAポリメラーゼII、IIIなどと呼ばれるようになります。Kornbergさんのエラいのは終始一貫してDNA合成酵素を解明していったことで、ついにはDNAポリメラーゼIIIが染色体の複製酵素であることをつきとめたことでしょう。DNAポリメラーゼIやIIが単一のタンパク質からなる酵素であるのに対して、IIIは多くのタンパク質の複合体酵素であり、複製酵素としての風格たっぷりというところです。現在では、DNAポリメラーゼIやIIは複製よりは、DNAの修復に関わる酵素であることが判っています。
Q&Aの最終更新日 : 2012-01-11