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若林 英行

0から1を作る創発の世界

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氏名:若林 英行氏
卒業学科/専攻:生物資源科学講座 (1998年度修)
勤務先:キリンホールディングス株式会社 R&D本部 飲料未来研究所

経歴:大学院修了後、キリンビール入社
■主な業務:食品機能性の研究と商品開発のマネージメント
・日本初のトクホコーラ「キリンメッツコーラ」の開発
・日本初の糖質ゼロビール「一番搾り糖質ゼロ」の開発
・機能性表示食品初の免疫機能維持食品「iMUSE(プラズマ乳酸菌飲料)」の開発
・日本食品免疫学会創設に企業代表として参画

(インタビュー実施月:令和3年3月)
(インタビュアー:江頭 祐嘉合教授)

Q1.なぜ食品会社を目指されたのですか?

A1.学生時代から食品の持つ機能性に興味をもっており、大学の研究室も食品栄養学研究室で「アルコール性肝障害のメカニズム解明と乳酸菌摂取の影響」について研究をしていました。食品そのものの研究は農学でありながら、その生体に対する機能性は医学と同様の基礎知識を必要とする分野であることから、食品機能研究だけでなく医薬事業にも力を入れている食品メーカーを探し求めていました。そのような中、キリンビール株式会社に出会い、就職することが出来ました。

Q.仕事の内容はどうですか?

A.現在、キリンホールディングス株式会社の飲料未来研究所に属しており、機能性食品の研究・開発を行うチームのマネージメントを行っています。
これまでの仕事で特に印象に残った仕事は、日本初のトクホコーラ「キリンメッツコーラ」を開発したことです。新商品開発はマーケティング部が発案することが多いのですが、この商品は研究所が発案・提案し主体的に取り組んだ結果生まれた商品でした。コーラ飲料は人気の炭酸飲料ですが、「身体に良くない」というイメージをもたれていました。そのため、特定保健用食品(トクホ)は「身体に良い」イメージのある茶飲料が主流でした。しかし、カロリーゼロコーラを免罪符的に飲む市場が定着しているのであれば、更に機能性を持たせれば新しい市場になるのではと考え、研究所発で開発を進めました。
結果、当時のヒット商品番付に入るくらいのヒット商品となり、現在も定番商品として定着していることをとても嬉しく思います。
研究開発は0から1を作る創発の世界なので、生みの苦しみや多くの失敗・挫折もありますが、その努力が形となり、さらに自分の開発したものが世にでることは仕事のやりがいにも繋がります。

Q.園芸学部で学んだことは役立ちましたか?

A.食品機能研究(卒論研究、修論研究)で得た知識や技術は、会社でも大いに役立ちました。特に、大学での食品免疫学に関する特別講義を受けたことは、自らの転機・研究キャリアの礎になっており、その後の免疫関連商品の開発や、日本食品免疫学会創設への企業代表としての参画などに繋がったと考えます。
また他学科授業や柏や熱川での農場実習等で、果樹の生産や食品製造の基礎を学んだことは、現在の清涼飲料の研究・開発に役立っています。

Q.仕事で心がけていることは何ですか?

A.研究職はどうしても技術視点で物事を考えがちになりますが、まずはお客様視点で、何が喜ばれ、何を欲しているかということを考えた上で、商品の研究開発をするよう心がけています。

Q2.千葉大学では、どのような学生生活を送っていましたか?

A2.学部時代は弓道部に所属しており、西千葉キャンパスで部活三昧な日々でした。またその頃、学部としては農場実習等の授業もあり、農業理解と共に、専攻・学科を越えた交友が深まりました。研究室に入ってからは、実験の都合で終日研究室に居ることも多々ありましたが、そのような時に研究室の仲間と一緒にご飯を作って食べる等、楽しい日々を過ごせたと思います。

Q.園芸学部を志望した理由は何ですか?

A.高校生の時にバイオテクノロジーに興味を持ち農学系・工学系の大学を探していたのですが、農学部ではなく、敢えて植物資源に特化した「園芸学部」というユニークな学部名と、園芸経済や緑地環境といった高校生時代には聞いたこともないその学術分野の多様さに惹かれ、本学部を志望しました。また、千葉大学は総合大学のため、いろいろな他学部の人たちとも交流ができる点、西千葉・松戸の両キャンパスに通える点も志望した理由の一つです。

Q3.最後に、学生へのメッセージをお願いします。

A3.大学時代に経験した知識や身につけた技能、交友関係や先生方との繋がりは、社会人となっても大いに役立ちます。大学時代の活動の幅が、その後のキャリアにも繋がると思いますので、幅広い知識を身に着け、いろいろなことにチャレンジして下さい。また園芸学部は、西千葉キャンパスと松戸キャンパスどちらも通えるという、総合大学と単科大学の両要素を体感できる学部だと思います。総合大学としての多様性・充実さ、単科大学としての専門性・一体感という両面を是非満喫して欲しいと思います。

若林 英行さん、ありがとうございました!

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