~国家公務員から地方公務員へ,現場から農業を元気に!~
氏名:三上 峻さん
卒業学科/専攻:園芸学科(2007年度卒業)/環境園芸学専攻(2019年度修了)
勤務先:八幡平農業改良普及センター 経営指導課(岩手県職員)
経歴:千葉大学大学院園芸学研究科修了後、2020年4月農林水産省入省、2023年3月に退職。同年4月より現職
(インタビュー実施月:2024年3月)
(インタビューアー:野村 昌史 教授、淨閑 正史 准教授)
Q1.なぜ今の職場に入ろうと思いましたか?
所属していた蔬菜園芸学研究室(以下「蔬菜研」)では、当時の教授と農業現場を見て回り、課題解決に取り組む機会が多くありました。
その際に、課題は現場ごとに多種多様であることを実感するとともに、生産から流通、販売まで広い視野を持って考えなければならないことを痛感しました。
よりマクロな視野を持って仕事ができると考えて農林水産省に入省しましたが、日本各地の素晴らしい産地を訪れる度、自分も現場の1プレーヤーとなって農業を盛り上げたい思いが強くなり、出身地である岩手県に戻ることを決めました。
役場でなく県職員を選んだのは、技術指導・行政による支援の両面からサポートしやすいと考えたためです。仕事のいろはを叩き込んでいただいた農水省の方々には感謝してもしきれません。
Q2.今はどんな仕事をされていますか?
現在は経営改善指導や労働力確保に加え、農業士に関する事務を担当しています。
各農家の強みと弱みを把握し、より強い経営を実現していくために必要なピースは何かを考え、情報収集に奔走し、農家の方々と情報を持ち寄って考えるのが楽しくて仕方ありません。
一方、栽培管理や防除体系に関する知識が同年代の職員と比較して弱いため、最近は技術指導を担当する課の資料作成等をお手伝いしながら勉強しています。
前職の大先輩から教えられた「20~30年後、どんな産地になることが予想されるか、また、そのために今、何をすべきか」を常に考えて業務に取り組んでいます。
Q3.なぜ園芸学部に入学しようと思ったのですか?
浪人時に、たまたま書店で手に取った園芸雑誌の記事(前述の教授がご執筆)が志望のきっかけです。
記事の内容は、人工光を利用した閉鎖型植物工場に関するもので、気候に左右されず安定的に野菜を生産できる技術に、当時衝撃を受けたことを覚えています。
改めて大学を調べてみると、園芸学部以上に施設園芸の設備を持っている大学はないことが分かり、「ここしかない!」と決めました。
志望校を決める時は、「その大学だからできること」を考えることも重要なポイントの1つかな、と思います。
Q4.蔬菜研で印象に残っていることは?
本当に何でもやる研究室でした。研究室総出で圃場の邪魔な木を伐採、抜根までして新しく畑にしたこともありました。
また、トマトの研究で使っていた栽培ベンチは、全て自作でしたし、かん水ラインの配管やタイマー制御に関する電子工作もやりました。
ただ、これらは農家の方々が実際にされていることも多く、就職してからは「良い経験をさせていただいていたんだな」、と思うようになりました(笑)。
あとは1年中トマトを栽培していた記憶ばかりです。
蔬菜研の学生は味に厳しい人ばかりだったので、美味しいと言ってもらえた時は嬉しかったですし、「今回は味が薄い」とか「別に普通」とか言われた時は、「なにくそ」と思って次作の苗づくりから気合を入れてました。
最後に、学生へのメッセージをお願いします。
園芸学科は実学主義で、理屈だけではなく現場で活かせるような勉強ができると思います。
農業の現場は教科書どおりにいかないことばかりで、その年の気候や市場の状況等を総合的に勘案して最適解を探す必要があります。
それらを少しでも実感として持った状態で就職できるというのは、大きいように感じます。
在学生の皆さんは、研究や勉強だけでなく、サークル活動や遊びも全力で楽しんでほしいと思います。
友人との旅行計画が社会人になると出張計画作成に役立ったり、遊びの中で学べることもあります。
それから、色々なところで色々な人の繋がりを作ってみてください!
三上さん、ありがとうございました!