国際的な視野をもって日本の農業を支える農林水産省での仕事
氏名:萩原 英樹氏
卒業学科/専攻:園芸経済学科 (1990年度卒)
勤務先:農林水産省
現在の主な業務:米麦の貿易業務、国産麦の需給・流通に関する業務部署の統括
職名:農林水産省農産局農産政策部貿易業務課長、高崎健康福祉大学客員教授
経歴:千葉大学園芸経済学科卒業後、平成3年農林水産省入省、在タイ日本国大使館一等書記官、
国土交通省都市局都市政策課企画官、生産局総務課国際室長、大臣官房参事官、内閣府地方分権改革推進室参事官等
(インタビュー実施月:令和3年6月)
(インタビュアー:吉田 行郷教授)
Q1.初めに、なぜ農林水産省を目指されたのですか?
A1.群馬県の農村地帯で育ち、農業は身近な存在でした。このため、農業に関心を持ち、千葉大学園芸学部へ入学することとなり、農業経済学を学びました。当時、日米貿易交渉における牛肉・オレンジの自由化問題がテレビや新聞等で報道されており、日本の農業の危機とも言われておりました。このような中で、日本の農業にとって、政府の役割も重要であると認識し、農林水産省において政策立案に携わりたいと考えたことがきっかけになりました。
Q.千葉大学園芸学部で学んだことは役立ちましたか?
A.基礎科目である経済学、統計学などは、汎用性が高く、今でも役に立っております。また、農業白書(現食料・農業・農村白書)によって、日本の農業の実態を学んだことに加え、著名な農業経済学者の本を精読することによって、専門知識をつけたことも役に立っております。ただし、英語をもっと学生時代に勉強しておけば良かったと後悔しました。理由は、農林水産省に入省してから、諸先輩から英語は必要だと言われ、必死で英語を勉強せざるを得ない状況になったからです。結果として、イギリスへ留学する機会が与えられ、ロンドン大学インペリアル・カレッジ(現インペリアル・カレッジ・ロンドン)から修士号を取得しましたが、社会人になってから英語を勉強することは非常に大変でした。ただし、イギリス留学では、学問以外にも多文化共生など多くを学びました。
Q2.千葉大学では、どのような学生生活を送っていましたか?
Q.授業には積極的に出席していましたか。
A.まじめな学生とは程遠い存在でしたが、できる限り授業に出席しておりました。その際、先生の話に集中し、とにかく理解するように心がけました。
Q.授業以外では、どうでしたか。
A.園芸経済学科の同級生は少人数であり、同級生と過ごす時間が多かったです。旅行も何度も一緒に出かけました。このため、今でも、同級生とは仲が良い状態が続いており、一つの財産になっております。ただし、他の学科の同級生ともっと交流しておけば良かったと後悔しております。
Q3.最後に、学生へのメッセージをお願いします。
A3. 自分の専門が役に立つかどうかを考えるのではなく、専門性を高めることが次にステップに必ずつながります。現在、大学では、アクティブ・ラーニングが求められていると思いますが、自分の考え方をしっかりと持って様々な議論を行って欲しいと思います。何よりも、大学は学問の自由が保障されているため、学生時代に、少しでも思考力を鍛えておくことが重要です。自分自身にとって、農林水産省に入省して、初めての海外出張がインドネシアの農村でした。そこで、貧困の状況を肌で感じてから、何とかしたいという問題意識が芽生え始めました。このため、タイの日本国大使館勤務での休日は、なるべく農村部へ出かけるように心がけました。その結果、行政官ですが、タイの貧困に関する農村社会の問題を取りまとめ、千葉大学から博士号を取得することができました。このように、思考力を鍛えておくと、何かの役に立つと思いますので、有意義な「松戸」生活を過ごしていただければと思います。
なお、農林水産省に興味がある方はいつでもご連絡をいただければ幸いです。
萩原 英樹さん、ありがとうございました!